「アートは日常生活のもろもろを魂から追い出し清めてくれる - ピカソ」
「アートセラピー」という言葉を知っていますか?
アートセラピーとは、絵画やアート作品の制作過程に内省することで、自己表現や自己認識をもたらすことができるとされる、心理療法の一種です。
まだまだ日本では馴染みのない言葉かと思いますが、アメリカやヨーロッパでは1940年代には専門職として開業され、洞察力を鍛える、ストレスとうまく付き合えるようになる、過去のトラウマを乗り越えられる、認知能力、記憶力、神経感覚を高める、対人関係を改善するなど、多方面にて活用されてきました。
アートは、人間とって欠かせないものです。
歴史的にみても、人間は、動きとダンス、音楽と音、演技と舞台などのクリエイティブな表現を通じて、感覚を起こしてきました。
また、アート制作の過程は、肉体的、精神的、感情的にも癒しを与え、セルフ・ヘルプ(自助)、セルフ・レギュレーション(自己調整)、セルフ・エクスプロレーション(自己探求)のためにも効果的だと言われています。
ではなぜ、子供時代は塗り絵や落書き、お絵描きに何時間も費やしたりしたのに、多くの人が大人になるにつれてアートへの興味を失っていくのでしょうか。
その大きな原因の1つは、社会から「アートは生活の役に立たない」と教わって成長することにあります。
しかし、アートが役に立たないという認識は大間違いで、実際に多くのポジティブな効果があることが証明されています。
まず最初に、アート制作は気分を落ち着かせるのに役立ちます。
私たちがアートを制作するときには、そのアクティビティ自体に集中しているので、過去や未来の出来事について心配したりストレスに感じたりすることはありません。
アート制作中に右脳を使うことによって、言葉と理性の領域から、創造と感情の領域にシフトします。
その結果、マインドフルネスと同様に、リラックスする、気分が落ち着くといった効果が得られます。
いくつかの研究では、反射的に体を動かしてアート制作することで、血圧や心拍数の調整に役立つこともわかっています。
次に、アートは表現方法の豊かな、ユニバーサル言語です。
言葉と違って、異なった意味を持ち得る、たくさんのメタファーやシンボルを盛り込むことができるアートには、言葉に出すことが難しいような考えや感情を反射できるだけでなく、異なった媒体でのコミュニケーション手段にもなり得るのです。
また、アート制作は私たちが持つ内なるエネルギーを、外側に運ぶ安全な乗り物のようなものでもあります。
ネガティブな感情を内に秘めるのは健康上良くないと言われますが、これらの感情を適切に表現するのは、時に難しいものです。
例えば、あなたがストレスや怒りを感じ、誰かに向かって叫んだり物を壊したりしたいとしても、あなたはそんなことはできないしするべきではないことを知っているから、結局自分の内側に溜め込んでしまう、ということがあるのではないでしょうか。
こういった場合は、ペンまたは鉛筆と数枚の紙をつかみ、あなたの怒りをその紙に描き移してみてください。(下記のイラスト参照)
これだけでも、かなり気持ちが楽になるはずです。
次の記事では、アートセラピーを自宅で簡単に楽しめる方法を、さらに詳しくご紹介します。お楽しみに!
執筆者:Yang Yang Fang(ヤン・ヤン・ファン)
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