あなたは、これまでの人生で、制約のない自由な生き方をしている人に出会ったことはありますか。

私は、そういった人に会った時、ユニコーンに遭遇したかのような衝撃を受けました。彼らが自身をよく理解していることに感銘を受け、静かなる自信に満ちあふれた様子に、尊敬の念を抱きました。

私たちは、子どもの頃には、本能的に自分のリズムでドラムを刻み、自由に行動していましたよね。
そして、そうすることに誇りを持って歩んでいたでしょう。

大声で叫んだり、踊ったり、笑ったり、人目を気にせず泣いたり…
子ども時代には、その一瞬一瞬に感じたことを、ありのままに表現していたものです。
そんな風に、私たちは本来、人生を楽しみ、面白く生きたいと願う生き物です。
そして、そう生きることは、誰にも教わらずとも、一人一人が知っているものです。

 

 

 

私の両親は、多くの親たちと同じく、成功するために「どのようにする『べき』か」を教えこみました。

例えば、「良い子」としての振舞い方であったり、人生において成功を手に入れる方法であったり、人生であらゆるものー特に彼らの承認―を得るために、彼らが思う「完璧」のイメージを体現する方法であったり。

そうした人生を歩むうち、どこかで、私たちはこの「枠」に合わない部分を抑え込むことに慣れていきます。また、完璧を目指すということは、今の自分が完璧でないことが無意識に刷り込まれていきます。

さまざまな経験を重ね、年月がたつにつれ、私たちの本来の自分自身と、自分に課せられた偽りのイメージの溝は、どんどん深まっていくのです。


 

ドン・ミゲル・ルイス氏(メキシコ人作家:トルテク文化・ネオシャーマニック。シャーマン)は、この現象について、次のようにまとめています。
 

 

「子どもたちが教わるすべてのメッセージの裏には、無言のメッセージが隠されている。それは、決して語られはしないが、子どもたち自身はこう理解するだろう。『ありのままの自分ではいけない』『自分はまだまだよい人間ではない』と。そう感じた瞬間、私たちは『本来の自分』であることを押さえ込み、『自分ではない何か』として生きることを始めてしまうのだ。周りの大人たちを喜ばせるために。彼らの価値観に基づいて作り上げたイメージに沿って生きようとしてしまうのだ」

 

 

自分の中の「子ども時代の亡霊(失われた子ども)」を愛そう


大人から与えられたメッセージを信じている時は、頭の中で絶え間なく嘘のテープが流れているように感じるでしょう-「私はまだ十分ではない」と。

私自身、自分に100%適する訳ではない採用情報を見ると「自分には応募する価値がない」と思ってしまいます。「同僚の時間を無駄にしたり、失敗したりするのではないだろうか」と考えるからです。

そして、自分の顔を鏡で見ると、きれいな部分よりも醜いと感じる部分に反射的に目を向けます。こうしたことは、自動的に行ってしまうので、自分自身でそうしていることに気づかない場合がほとんどです。

 

こういった大人の好ましくない癖に関して、ジェニーン・ロス氏(米国人作家:摂食障害・生き方指南等)は、「子ども時代の亡霊」と表現しています。

私はこの概念に、非常に好感を抱いています。それは、こうした好ましくない癖が、大人に成長していく過程で、捨てられてしまった「失われた子どもたち」として、私たちの幼少期と関連づいているからです。

こうした「子ども時代の亡霊」は、疎まれてきましたが、満たされないままであり、癒しを求めています。この「子どもたち」を無視したままでいると、ストレスによる過食や、希死念慮、自傷行為、ストレス、身体異常、その他さまざまな状況において否定的な反応等を、引き起こしてしまうのです。

現在、私たちの多くは、「大人の価値観に基づく物語」を長い間信じてきた結果、それがあたかも真実であるかのように感じています。そして、その「物語」がまやかしであるなどと疑うこともなく、生きてきました。

しかし、今こそ、「内なる子ども(インナーチャイルド)」と触れ合うときです。そうすれば、より強く、より苦しみを減らして行動できるようになるでしょう。私がこの内なる自分とつながる旅に出て、わたしの子供時代の亡霊を愛し、癒していく過程が、みなさんにとっても、新たな価値観や、周囲の人々、あなた自身とも、より深いつながりを築くきっかけとなるよう願っています。

 

「過程」を楽しもう

 

自分にとって本当に最適な生活を送ることは、人生を通して実現していく長い旅です。

多くの人が、理想の、意味のある人生を追い求める生活は、今の自分とはかけ離れた将来にあるものと誤解していて、私自身もその一人でしたが、最近ある人からこう言われました。

人生の大きな目的について黒か白かと明確にしようとすることで、自分を見失っていると。自分にとっての最高の人生を送ることは、常に変化し続ける「過程」だから、自分自身に問いかけるべき質問は、「『たった今』、何が私に生をくれているのだろう」ということだと。

たった今、何が私に生きる喜びをくれているのか。「今」に焦点を当てることで、あらゆる決断がより簡単になり、私たちを心の内面へと向かわせてくれる、ということに気づきました。それは同時に、人生を楽しみ、面白おかしく過ごすという、本来の私たちにしてくれるということも。

 

 

 

自分の直感力を鍛えよう

 

あなたは、自分の直感に反した決断をしたことがありますか。

私にはその経験がありますが、とても心が傷付き、ストレスを抱きました。その苦い経験での幸いは、自分の魂に耳を傾けることと、恐れやエゴに耳を傾けるかの違いについて、学んだことでした。

一部の人たちは、生まれ持った直感力を備えていますが、私のように騒々しい現代社会を生きている人たちにとって、直観力を鍛えるためには、大変な労力が必要です。ジムで筋肉を鍛えるように、直感力もトレーニングが必要なのです。

 

まず第一に、「ゆっくり」を心掛けて、地面と接する自分の体の重みを感じてみること。

もし、私が自分の体に、肉体的に存在していなければ、再びあの「嘘」のテープをかけながら、頭の中で走り回ることになるでしょう。例えば、心の中にほこりがたまっているときは、自分自身を批判する余地もないまま、自分の体がどのように感じ、どのような思考や感情が自然に湧き上がってくるかに気付くことができますよね。

「ゆっくり」を心がけることは、いつでもどこでもできる瞑想の一種で、長い目で見ると、実際にはより多くの時間を生み、ストレスを減らすことにつながります。自分の直感に耳を傾けることは、自分自身を信じること。

自分を信頼できれば、自分の行っていることに自信を持つことができ、より明確な判断を下したり、自分にとってふさわしい場所を見つけることも可能になります。

 

 

 

自分自身を知ろう(汝自身を知れ)

この慌しい現代の日々において、私たちは、周りの人たちのために時間を取られてしまい、自分をおざなりにしがちです。

そんな中で、バランスの取れた生活を実現し、直感力を高め、自分の「子ども時代の亡霊」とよい関係を築き、より本能的に生きることを実現するのは、時間がかかって当たり前!

私たちは日々、さまざまなことに注意を向ける必要にかられているので、自分のための時間を持ち、それをしっかり守ることがとても大切になります。

 

ある友人は、上司と相談の上、勤務を週4日にすることに成功しました。

彼女は毎週金曜、自分の好きなヨガのクラスに通ったり、自分の好きなことをしたり、おいしい食事を楽しんだりすることに費やしています。これは、彼女自身に利益をもたらしただけではありません。周りの人々への対応もより明るく前向きになり、仕事の効率も以前より上がったと評判です。

 

勤務日の中で1日休日を取るということは、誰もが出来ることではないかもしれませんが、ここでお伝えしたいのは、慌しいスケジュールの中で、あなた自身のための瞬間を見つけてほしいということです。

私はそれを、「ソウルデート(自分の内面とデートをする日)」と呼んでいます。それはきっと、あなたによりエネルギーをもたらし、人生全体をも大きく良い方向へと導いてくれるはずです。


 

執筆:ジェニス・カン(Janice Kang)
英語の原文はこちら

 

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