チャオ!イタリアのワイナリーからお届けしています、まやです。
まさにブドウの収穫時期真っ最中の、9月10月。今年も夏の暑い日差しを満面に浴びたブドウたちが、枝から落っこちてしまいそうなくらいにぷっくぷくに熟すの待って、収穫が始まりました。
「ブドウの収穫どきってどうやってわかるの?」ワイナリーで働き始めると、「経験値でわかってくるよ~」といったことも多く、以前より余計に疑問が増えたり(笑)。そ
れでも、毎日ブドウの変化を見ていく中で少しずつわかってくることがあって、おもしろみは増していくばかりです。
バイオダイナミック農法とは?
私の働いているワイナリーでは、バイオダイナミック農法を行なっています。
バイオダイナミック農法とは、日本ではまだ聞き慣れないかもしれないのですが、ドイツやスイス、アメリカではかなり普及している有機農法(オーガニック農法)のひとつで、よく循環型農業ともいわれる生産方法です。

よく、ビオ、オーガニック、バイオダイナミック、というと、化学肥料や農薬を使わないこと、遺伝子組み換え技術を利用しないこと、などが取り上げられると思うのですが、じつはそうしたことはあとから加わってきたこと。根本にあるのは、
「自然がもともと持っている力を尊重した方法で生産する」
という考え。病気から自分のカラダを予防する力や自然治癒力など、もともと持っている力をできるだけそれを邪魔しないように。そして毎年作物を採ったらそのあとはコンポスト(有機物が微生物によって完全に分解された肥料)を与えて、土壌を休ませる。その繰り返しで、農業を行っていくことが基本にあるんです。
そうして農業をくり返していくと、外部から化学肥料を買う必要もなくなり、作物にストレスがかかっていないので病気にもなりにくいので、薬品も必要なくなる。農場に牛などの家畜がいれば、その農場の中だけで、サイクルを回していける、というのが理想の形なわけです。
ただ、化学肥料なしの農業は毎日が雑草との戦いとなるし、いったん病気になってしまうと作物が一気にやられてしまうので、かなり労力がかかるのも実態です。有機農法、バイオダイナミック農法で作られた野菜・果物が、ときには倍以上の値段がするのは、そうした背景があるのだと考えると、納得いくかもしれないですよね。
当たり前になってしまった、「効率」を重視する農業とは全く正反対なので、それだけで経済的にやっていける農家もわずかだったりするのですが、その分、とてつもなくジューシーな野菜・果物が採れたり、古来種を大事に育てていたり・・・という場合も多いので、買い物の際にもちょっと注意してみるとまた新たな世界が広がるかも。
「効率」よりも「手触り」を大事に
リサーチを進めていて、おもしろいなぁと思ったのは、「有機農業の役割は生産・加工・流通・消費のいずれにおいても、生態系および、土中の最も小さい生物から人間に至る有機体の、健全性を持続し強化することである」と国際有機農業運動連盟(IFOAM)が定めていたこと。土の中のミミズからわたしたち人間まで、何もかもつながっているーー。そこが原点だということ。
また、バイオダイナミック農法の父、ドイツのルドルフ・シュタイナーは、あらゆることのプロセスにおいて「効率」よりも「手触り」が大事だと言っています。では実際、農園やワイナリーではどういうことをしているの?次回はそのあたりの具体的なことをお伝えできたらと思っています。
今回もここまで読んでくださってありがとうございます。なにか皆さんの生活のヒントになるようなことが少しでもあったら、うれしいなと思います。ではでは、また次回まで、チャオ!