チャオ!イタリアのワイナリーからお届けしています、まやです。
こちらでは1ヶ月に渡るブドウの収穫シーズンが無事終了し、ワインづくりに集中する季節に入りました。ブドウの葉もこの1ヶ月で黄色や赤色に色づいて、ぐんと秋らしい表情に変わってきています。
人間もワイン畑も、みんな食欲の秋?
私の働いているワイナリーでは、バイオダイナミック農法を行なっています。
前回の記事では、バイオダイナミック農法って・・・?というところから基本をおさらいしました。
有機農法のひとつで、循環型農業を通して、自然がもともと持っている力を尊重した方法で生産する、という考えが根本にあります。
今回は、そうした農法を行っているワイナリーでは日々どんなことが起こっているの?という質問にお答えしようと思います。

9月10月のブドウの収穫時期は、ワイナリーにとっては一年に一度の最大イベントとなるわけですが、そのブドウが育つ「土壌」にとっては、じつは収穫後の今の時期が一番大切だったりするんです。
もうブドウの房がひとつもなく、残されたぶどうの樹はそことなくさみしそうな感じがするものです。それでも、この時期は、弱くなっている樹に注意を当てたり、寿命を迎えた樹を抜いたりーー。
収穫「後」にゆっくりそしてたっぷりと愛情を注ぐこと、そして何よりも栄養を与えて土地を休ませること、がまた次の年に美味しいブドウを作ってくれる秘訣なんです。
この時期の土壌の様子を、人間のカラダ、特に赤ちゃんを産んだばかりのお母さんのカラダやに例える人もいます。そう考えると、この1年間すべての栄養をブドウたちに注いできた土壌が、しっかりと休む必要がある理由もよくわかりますよね。
ワイナリーでは、この時期は発酵させておいたコンポスト(有機物が微生物によって完全に分解された肥料)や牛の糞などを雨水に混ぜて土壌に与えたり、野菜畑には、土に養分を与える役割を果たす、大豆類を撒いたりします。
ワイン畑も、食欲の秋というわけなんです。
月の満ち欠けの周期を基にしたバイオダイナミックカレンダー
バイオダイナミック農法にとって、もうひとつとっても大事があります。それは、月の満ち欠けを基に日々の作業を行うことです。
私たちのカラダも月の満ち欠けに影響されるように、土壌やワインの性質もその周期をうまく利用することがより美味しいものができるんです。
バイオダイナミック農法のカレンダーというのがあって、太陽、月、惑星と地球の位置関係や生命体の成分が天気から受ける影響などに注意して、種まきをする日を決めたり、ワインに手を加える日を決めたりします。
バイオダイナミック農法のカレンダーでは、日々を以下のように4つに分けます。
水(葉っぱの日)キャベツ類、サラダ菜、レタス、ほうれん草など
熱(実、フルーツの日)米、穀類、インゲン、えんどう豆、大豆、トマト、いちごなど
土(根っこの日)大根、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、ニンニク、生姜など
空気・光(花の日)すべての花類、ハーブなど
この4つの要素を基に、それぞれの日にあった作業をします。
じつは、おばあちゃんの知恵袋?
葉っぱの日は、カルシウムの代謝が活発になったり、根っこの日は土の中の窒素の結合が促進したり、このカレンダーの背後には月の満ち欠けとともに、すべての生命は、地球上だけで完結しているのではなく、「地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」という考えがあります。
こう書くと、ちょっと疑わしくなる人もいるかもしれません。でも、とても面白いのは、私たちのおじいちゃんおばあちゃんの世代の人にこの話をすると、間違いなく帰ってくる答えが「あはは、そんなの当たり前じゃない」なんです。つまりは、昔の人はこうしたことを代々生きていくための知恵として引き継いできていたんでしょうね。
今回もここまで読んでくださってありがとうございます。
なにか皆さんの生活のヒントになるようなことが少しでもあったら、うれしいなと思います。
ではでは、また次回まで、チャオ!