2] ヨガ・アーユルヴェーダとは

1) ヨガ・アーユルヴェーダの歴史〜概要編〜

 ヨガとアーユルヴェーダは、4~6世紀頃に”Veda”(ヴェーダ)というインド発症の聖典から派生的に誕生したと考えられています。

 ストレッチなどの身体運動として認識されることも多いヨガは、心を扱う哲学として誕生しました。Yogaの意味は、インドのサンスクリット語で「くびき」。これが意味するのは「繋ぐこと」、つまりは、意識をより良い状態と繋ぐこと、繋がりの中で生きること、と解釈されています。

 ヨガ哲学の究極的な目的は、心の作用を止滅すること。「心を鎮め、心を制御し、心を味方につけて、人生という旅を快適に楽しみましょう」〜その為に、アーサナ(ポーズ)、呼吸法、瞑想などを行い、精神面を磨きます。

 一方、ヨガの姉妹科学であるアーユルヴェーダ。サンスクリット語の意味は、「生命科学」です。世界最古の伝統医学として、人々の健康を支えてきました。

 アーユルヴェーダの最終的な目的は、錯覚と中毒を解消すること。その為に、食事、生活習慣、健康増進法などの身体的な側面から取り組みます。

 すなわち、ヨガもアーユルヴェーダも、健やかに、幸せに生きるための哲学であり、科学なのです。

 日本がまだ弥生時代だった頃、インドではすでに苦しみから脱して幸せになるための哲学が誕生していたということは興味深いですよね。

2) ヨガにおけるマインドフルネス〜基本編〜

 ヨガ哲学では、2種類の自分が存在すると考えます。

 一つは「プラクリティ・自我」。「本当の自分」を取り巻く、役割の自分です。「娘」「友達」「妻」など、人との関係性において生じる役割や、社会性の部分がここに当てはまります。

 もう一つは、「プルシャ・真我」。役割の自分をすべて取り払った後に残る、本当の自分です。

 「本当の自分」は観る存在であり、役割をはじめ、自分が経験している感情や状況などの「観られる対象」はすべて本来の自分ではなく、この世を体験するための「器」だといいます。

 この概念に当てはめてマインドフルネスを考えてみると、「自我ではなく、真我の自分である状態」と定義できるかもしれません。

3) ヨガ哲学の考え方〜「私」を作るエネルギー

 ヨガ哲学では、「私」は、真我であるプルシャと、5つの鞘(さや)・層からできていると考えられています。

①アーナンダマヤコーシャ(歓喜鞘):他の4つが管理できた先にある、喜びに満ちた層。

②ヴィジュナーナ マヤコーシャ(理智鞘):宇宙的な観点から物事を判断できるようになることを理想とする層。

③マノマヤコーシャ(意思鞘):感覚や感情でできていて、心を司る層。

④プラーナマヤコーシャ(生気鞘):呼吸やエネルギーの流れによって変化し、陰と陽のバランスを整える層。

⑤アンナマヤコーシャ(食物鞘):肉体を含む目に見えている物質的なもののこと。食べた物によって影響を受け、体質や体調が大きく変わる。