1] なぜ今マインドフルネスが必要か
【QOL(Ouality of life)】
人生の幸福感や生活の質など私たちが生きる上での満足度を表す指標が、医療や教育など様々な分野で活用されている昨今。「食事や運動だけでなく心のケアも必要」という考え方が広まってきています。
心のケアの方法としては、セラピーやカウンセリングなどもありますが、毎日の生活に気軽に取り入れやすいマインドフルネスは、スティーブ・ジョブスを始め多くの一流経営者・著名人・アスリート達に実践され続けています。
マインドフルネスとは、「今この瞬間に意識を向ける」こと。
マインドフルな状態になるには塗絵や編物、ヨガや料理などいろんな方法がありますが、特に目を閉じるだけの瞑想は何と言っても道具いらずで、いつでもどこでも簡単に取り組めるのが魅力的です。
毎日忙しく仕事や家事に追われている方や、日々ストレスを感じる環境にいる方、眠りが浅いと感じている方、また仕事でパフォーマンスを向上したい方や、対人関係をより良くしたい方にお勧めの方法です。
2] あなたのストレスレベルチェック診断
自分ではあまりストレスを感じていなかったとしても、ネットやSNSなど情報が溢れる現代社会に生きる私たちは、気付かないうちに心身ともにストレスの影響を受けている可能性があります。
以下から当てはまるものにチェックをつけてみましょう。
◻︎朝起きたらまずスマートフォンを見る
◻︎常にやることに追われている
◻︎寝ても何だか疲れがとれない
◻︎つい夜更かししてしまう
◻︎ぼーっとしているうちに時間が過ぎてしまう
◻︎気持ちが落ち着かない
◻︎イラっとすることが多い
◻︎人と会うのが面倒に感じる
◻︎以前と比べて疲れやすい
◻︎最近もの忘れが増えた
◻︎肩こりや頭痛がする
◻︎休みの日はあまり動きたくない
チェック項目が5つ以上当てはまった方は、ストレスで脳が疲労しているサインです。
ストレス軽減に効果の高いマインドフルネスで自分を整える時間をとっていきましょう。
海外や企業の研修で注目されるメンタルトレーニングの一つであるマインドフルネス。
「今ここに意識を向ける」ことを毎日の習慣にすると、イライラした感情や不安感の軽減、仕事の集中力アップ、また幸福度の向上などに効果があると脳科学的に実証されています。
医療の現場でも使われているマインドフルネスを毎日の生活に取り入れてみませんか?
3] 脳疲労を改善できる!マインドフルネスの仕組み
私たちの脳は毎日忙しく動いており、1日約6万回~7万回思考していると言われています。「お腹が減ったな」「この後の予定は何だっけ?」「昨日は上司にこんなことを言われたな」など、脳は独り言のように一日中絶えず呟き続けます。そして、何もしなくても勝手に疲れてしまい、その消費量は脳の全エネルギー消費の60~80%を占めてしまう構造を持っています。
この人間が意識的な活動をしていない時に働く脳回路のことを「デフォルト・モード・ネットワーク」(下図参照)と言います (1)。マインドフルネスは、瞑想をしながら自分の呼吸に意識を向けることで、脳のエネルギー消費を軽減し、静かで穏やかな脳が休まる状態を作っていきます。
<デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)>
内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉などから構成される脳の回路
特徴1: 何もせず、ぼんやりしているときも働く
特徴2: 脳の消費エネルギーの60~80%を占める
4] 簡単!マインドフルネス瞑想の基本のやり方
では、早速簡単にできるやり方をご紹介していきます。
1) 自宅編
① 背筋を伸ばして座る
自分が居心地良いと感じる場所に座ります。
骨盤をどっしりと安定させて座り、背筋をスッと天井に引き上げ、
手は軽く膝の上に乗せていきましょう。
② 目を閉じる
姿勢が安定したら、軽く目を閉じていきます。
目を閉じるのに不安がある方は、薄眼を開けて足元を見つめていても構いません。
③ 呼吸に意識を向ける
ゆっくりと自分の意識を呼吸へ向けていきましょう。
深く吸おうなど呼吸をコントロールしようとせず、いつもの呼吸を続けます。
そして、今自身がどんな呼吸をしているのか興味を持って観察してみます。
④ 呼吸から意識が逸れたら戻す
そのまま5分間呼吸を観察し続けます。
途中必ず考え事が湧いてくるので、「考えが湧いた」ということに気づき
また呼吸に意識を戻していきます。
ここでのポイントは「集中しなきゃ!」と焦らないこと。
自分自身に優しい気持ちを向けながら気楽に行いましょう。
できたら毎日5分、朝起きてすぐ行うと良いでしょう。
朝が難しい場合は、昼休みや寝る前でも構いません。
心を落ち着ける時間を継続してとることが大切です。
<椅子で行う際のマインドフルネスの姿勢>
・足の裏が全部つく位置に座り、背もたれから背中を離す
・手は太ももの上に乗せる(手の平は上向きでも下向きでもOK)
・耳と肩、腰骨のラインが一直線上にあるように座る
そこで、静かに自分の呼吸へ意識を向けていきます。
徐々に慣れてきたら、通勤電車の中やエレベーターの中などストレスを感じやすい場所で行ってみるのも良いでしょう。
その際は、川のせせらぎや波の音、鳥の声など自然音を聞いたり
好きな香りを身につけるなど、リラックスできる環境を自分で作るとより集中が高まった状態で行うことができます。
2) 通勤電車編
以下では、通勤電車で簡単にできる方法をご紹介します。
① つり革や柱につかまり体を安定させましょう。下腹に少し力を入れ、両足の裏をしっかり意識します。そして、安定したところで目を閉じ、呼吸瞑想からスタートします。
② 旅行で訪れた場所やお気に入りの場所など自分の心が穏やかだった状況を思い出します。
③ その景色、音、香りなど、五感に受けた刺激を思い出し、頭の中にできるだけ具体的に再現してみましょう。
④ 最後は深呼吸をして、ゆっくりと現実に戻ってきます。
目を閉じて、自分のお気に入りの場所をイメージしましょう!
マインドフルネスは習慣にして初めて効果が感じられるもの。
自分が取り入れやすい方法で、少なくとも2か月は継続してみてください。
徐々に、自分で自分を整える感覚が感じられるはずです。
マインドフルネスを実践して、ストレスに強く毎日心穏やかに過ごせる自分を手に入れましょう!
——————————–MEET THE TEACHER——————————–
Chika Kawai
マインドフルネスコーチ
大学時代を過ごしたLAで、ヨガとマインドフルネスに出会い、 その心身を整える効果に魅了され学び始める。大手教育出版社の編集者を経て、 パラレルキャリアで始めたマインドフルネスの仕事で独立。 これまでには、海外の有名アスリートチームや寺社、外資系企業・ 国内企業など3000名を超える方への一般・法人向けセッションを担当。 マインドフルネスやウェルネス関連の企業研修講師・イベント企画・ サービス開発、執筆、コンテンツ制作などを行っている。
<<参考文献>>
(1)「世界のエリートがやっている最高の休息法」,久賀谷亮, 2016年7月29日, ダイヤモンド社, P.66-70