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PART 4.「経営者として私が大切にしたいバランス」

会社経営に大学院生。さらには学びの発信をされている新田理恵さん。常に学び続ける向上心を持ち、活動の幅を広げ続ける理恵さんの経営者としての側面にフォーカスして、経営をする上で必要なマインドや考え方などをお聞きしました。

マイルールを作ること

事業を運営されている方にインタビューをさせて頂くと、多くの方がマイルールを作り、守ることで平常心を保ちストレスにならないようにされているように思います。理恵さんはマイルールをお持ちですか?

寝ないとダメなタイプなので、7時間半は睡眠を取るようにしています。睡眠時間が6時間、という日々が2週間続いた時にひどい頭痛で倒れてしまったことがあるので、睡眠だけはしっかりと取ろうと決めています。

あと、お弁当だけは作って学校に持っていくのがマイルールですね。

他にも、緊急事態宣言の発令期間はできませんが、月に1回ほど片道5時間はかかるような遠い場所に行くことにしています。旅に行くことでかなり自分の中であたりまえになってしまっていた感覚や体内時計をリセット出来るので。

同じ行動範囲内に留まっていると視野も狭まりますし、思考もループしてしまいがちです。なので、月に一度自分の生活圏を離れる時間を定期的に持つことで、思考も健全になるし、新しい刺激を受けることによって勉強も出来ます。アウトプットがきちんと出来るように、良いインプットを受けて自分の中で循環してみる時間が大事だと考えています。

経験値と移動距離は比例していると思います。移動すればするほど、遠くに行けば行くほど、文化の違いに触れるほどに知見も広がるしアイデアもたくさん出やすくなります。

自分のいる現状が本当に正しいのだろうか、という目線のリセットも出来ますしね。 これも大切なマイルールです。

 

経営者として大切にしていること

理恵さんが経営者として大切にされていること、意識していることはありますか?

どのような経営をしていくか、どのような組織にしていくか、ということを考えると、自分と向き合うことになります。自分は何がしたいのか、何を大切にしているのか、ということを常に問われているようです。

経営をしていく上で様々な成功や失敗がある中で、自分らしく本当に大切なものを大切に扱う、こんな未来を作りたいという希望に向けて挑戦や実践をしていくことの出来るチームにしていきたいと思っています。

私が薬草の活動を始めて7年ほどになるのですが、メンバーたちの環境や状況も以前とは変わることもあります。それでも続くご縁もあれば、違う道の方がお互いに応援し合えるよね、という結論になることも。この辺りも一つの正解を求めすぎず、柔軟に有機的にやっていけたらと。

経営する上で、参考にしている企業はありますか?

株式会社石見銀山生活文化研究所という企業が島根県にあります。日本各地の百貨店に店舗を持つ大きな規模の企業で「群言堂」というアパレルブランドなどを展開されているのですが、経営理念がとても好きです。文化や自然資源、伝統を大切にしながら、経済もちゃんと追っていく非常にいいバランスで事業を行っておられます。

文化を大切にする活動は49%、資本や経済を追い求めるのが51%という、わずかに経済を優先させるというバランスでやっている、と仰っているのがとても印象的でした。世界遺産の石見銀山の昔ながらの町並みにある古民家の再生と活用など、これから先の、100年200年と残っていくような文化資産にも力を入れておられるので、数字で見るとなかなか黒字にならなかったと仰っていて。そんなスタンスに非常に憧れますね。

私たちも持続可能な会社としてそういった理念やビジョンを追求していきたいです。

 

自分の弱さを受け入れ、さらけ出す強さ

起業をすると人前に立つことも増えるかと思います。その上で心がけていることはありますか? 

チームやいろいろな人に対してもそうなのですが、弱さを見せた方がいいと思います。完璧すぎると関わる余地がないですよね。

私は出来なかったことを言うのが苦手でつい頑張ってしまうのですが、そうではなくて「これは苦手なの」「出来ないから助けて欲しい」「あなたの方が絶対上手く出来るから」と、素直に言ってしまった方が、結果としてお互いを大切にできるし、モチベーションも上がる。こちらも一人が抱え込むと、何かが起こった時のリスクが大きいから、みんなができたほうが組織として強いし健全です。取り繕わないで自然体でいることが、息の長い組織になりますよね。

仕事以外でも同様で、「家事に疲れてしまう」という話にも通じます。家事労働は対価としてお金をもらえるわけではないから仕事ではないとみなされてしまう。自分一人のことなら生活するために仕方ないと割り切れることも、家族の分もしていて時間もそれなりにかかるのに、特に感謝されたり褒められることがない。それを苦痛に感じる方が多いのだと言われていますし、心当たりもあります。

もちろん、いろんなバランスの家庭があるので一概には言えませんが、全体像を共有して、長期プロジェクトなので無理せずちゃんと話し合うことが、健全な状況に繋がるのではないでしょうか。

 

今後の展望

今後のキャリア展望、将来についてお聞かせください。

7年間、薬草のお仕事をやってきて、つくづく私は経営者に向いてないと思っていて。早くポジションを変えたいと考えているんです。理由は、お金に興味がないから。自分でお金を愛すか、お金が好きで情熱を燃やせる人に経営サポートをしてもらう方が絶対にうまくいくのでは、と思います。いいバランスを探していきたいですね。

仕事に関すること、大学で組織論の学びを受けていく中で、自分がサポーター気質の非常に強いタイプであることがわかってきました。

誰かのプロジェクトを行い、そのサポートに専門性を持って入る、ということが一番機能出来る人材だと思っています。そういった働き方が出来るようになるには、どう位置づけるのが一番良いかはまだわからないのですが、そこを1,2年かけて模索していきたいですね。

{tabel}は好きなので、マイペースに続けていきたいです。

では、経営者や個人事業主に向いているのはどのような方だと考えていますか?

決断力と最期までやりきる行動力が大切だと思います。やりたいことを実際にやってみることが本当に大切なので、その一歩を踏み出せるかどうか。あとは愛嬌も大切ですね。一人ではどうにもならない時が必ず訪れます。その時に助けを求めたり、相談が出来る素直さを持つこと。困っていると誰かが思わず助けてしまうような人は非常に向いていますね。

大きな夢を持っている人というのは、やはり周りが応援をしたくなります。同じ方向へ一丸となって向かうためにもビジョンを描いておくことは大切です。ビジョンを立てないと目的地がない状態になってしまいます。目的地がないとどこに行けばいいのか、どれくらいのスピードで向かえばいいのか、どのような交通手段で行けばいいのかがわからないので、チームで進む場合は必ず最初に必要となります。

これから経営者や個人事業主を目指す方に向けて、アドバイスなどありましたらお願いします。

「まずはやってみよう」ですね。アイデアや夢は、実行しないと意味や価値がない。まずはやってみないことには何も始まらないので。

いきなり大きく始めて失敗すると辛いので、まずは小さく始めてみる。自分に出来る範囲のことはなんだろう、ということと、自分の中で思う最高の自分や状況とはどのようなものなのだろうか、という両輪で考えつつ、まずは出来るところから少しずつやっていけばいいのではないでしょうか。マルシェで雑貨を売ってみようとか、身近にいる理想に近い取り組みをしている人の活動を手伝うとか、楽しそうで3ヶ月以内に達成できる小さなゴールからやってみてください。応援しています!