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PART 4. HSP×個人事業で叶える「自分らしさ」と「仕事」のベストバランス

最近よく耳にするようになったHSP。Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略称で、「繊細な感性の持ち主」のことを指す言葉です。HSPは医学的診断名ではありませんが、生きづらさや人間関係の違和感を抱く人に共感され、現在広く社会に知られています。

ナチュラルライフコーチの岡野さんは、会社員から個人事業主に転身し、自身の繊細な感覚を活かしてビジネスを楽しんでいます。HSP気質の人が、自分の強みを活かして働くコツは何でしょうか?第4回目のインタビューでは、自分らしいビジネスの経営方法について岡野さんに話を伺いました。

繊細な感性を活かして自分らしく働くために

岡野さんはご自身がHSPに該当すると伺いましたが、どのような点がHSPだと思われるのでしょうか?

HSP気質の人、つまり、職場で上司の機嫌に一喜一憂したり、同僚から仕事を頼まれると断れず自分のことに集中できなくなったり、自分の仕事がうまく遂行できなくなるような繊細なタイプの人が一定数いると言われています。HSPの診断テストを受けてみたら私もHSPに該当したんですね。
HSP気質を持った人は周囲からの影響を受けやすいので、個人事業でマイペースに仕事するのが合っていると言われています。私も会社員時代より個人事業の現在の方がいきいきと働けています。会社勤めだと上司も同僚も職場環境も選べませんが、個人事業ならどこで誰と働くかも自分で選ぶことができます。自分のペースですすめていけるので、HSP気質を持った人に合った働き方だと思います。

岡野さんはご自身の繊細さをビジネスでどう活かしていますか?

私は企業で研修やセミナーを開催していますが、セミナーでは、講師である私と受講者が「横並びの関係」になるように意識しています。横並びとは、講師と受講者が「教える・教えられる」という関係ではなく、対等と言いますか、互いの経験をシェアしながら、提案したり相談を受けたりすることです。クライアントと一緒に課題解決したり目標達成に向けてゴールを目指したりしていけるような関係性を目指しています。
このような考えに至ったのは、以前私が受講したセミナーでの経験からです。私が受講生だったセミナーでは「教える・教えられる」側がきっちりと分れており、「自分で考える」「自分で決める」よりも、「先生みたいにならないといけない」「目標はこうです、これを目指しましょう」というように、「こうすべき」という押し付けや束縛を感じてしまいました。
もちろん、このように感じるかどうかは人それぞれです。与えられた目標があった方が頑張れるという人もいるでしょう。しかし私は、人は「こうしなければいけない」と思うより、ワクワクした「こうしたい」という気持ちから行動した方が成長につながると思うんですね。この姿勢は今も変わらない私のビジネスの理念になっています。これも、繊細な感性があったからこそ気づけたことかも知れません。

ビジネスにおいてどのような点がHSP気質の強みになると思いますか?

ひとつは、観察力が挙げられると思います。HSP気質の人は感性が鋭いと言われるので、相手の小さな変化をいち早くキャッチでき、どうケアしてあげたらよいかも察知できるそうです。これは素晴らしい能力で、ぜひ仕事に活かすべきだと思っています。
また、さきほどHSP気質の人は周囲から影響を受けると言いましたが、よい影響も吸収できるのが強みなんです。自分をよい環境に置き、よい人間関係を築けば、プラスの影響をどんどん受けていくのではないでしょうか。

 

HSP気質の人がうまくいくビジネスの人間関係

HSP気質の人は細かいことに気づいたり、丁寧な配慮ができたり、相手の気持ちを汲み取るのが得意だったりすると言われています。その反面、ストレスを抱えやすく、自分自身が苦しくなり、仕事を継続しづらいケースがあるようです。仕事上、岡野さんが苦手だと感じるタイプはどういう方ですか?

以前、年配の方と一緒に仕事をさせてもらった時のことですが、その方がビジネスに対して「見返してやりましょう!」「追い抜きましょう!」というスタンスだったんです。私にはそれが苦しく感じられたんです。私自身は、誰かと比較して競うような動機で働くのではなく、ワクワクを原動力に頑張ったり、自分らしく充実感が得られるようなビジネスをしたいんですね。それ以来、ビジネスに対する動機の部分で違和感がある方とは距離を置くようにしています。HSP気質の人は良くも悪くも周囲からの影響を受けやすいので、一緒に働く人を選ぶのは重要だと思います。

 

女性がバーンアウトしない働き方

女性が起業すると、バーンアウトすることが少なくないと聞きます。バーンアウトとは、日本語で「燃え尽き症候群」と言い、仕事や介護などに頑張っていた人が何らかのきっかっけで意欲をなくし、出社できなくなる、対人関係が困難になるなどの症状が出ることを指します。女性で個人事業を興した際、真面目で一生懸命に仕事の準備をするのですが、途中で「もうできない」と辞めてしまうケースが多いようです。バーンアウトせずに働き続けるためにはどうしたらよいでしょうか?

バーンアウトしないために一番大切なことは、「自分を知る」ことだと思います。オーバーワークにならないよう、常に自分を観察しながら仕事するとよいのではないでしょうか。自分の仕事量として、どこまでが自分のキャパシティの範囲内で、どこからがオーバーワークになるのか、自分できちんと把握しておくのです。例えば、自分は1日の打ち合わせを2件入れると疲れてしまうから、1日1件までにするというように、自分の傾向を把握してスケジューリングするとよいですよね。

サステナブルに働き続けるためには、自分自身をよく知ることが大事なんですね。

そうです。とはいえ、実は私も以前は打ち合わせを詰め込み過ぎてオーバーワークになってしまったこともあります。経験を通してでないと自分のキャパシティを知ることができないので、トライ&エラーですよ。
自分の「ここまで」というラインは本当に人それぞれですので、周りと自分を比べずに自分をしっかり観察して、自分のキャパシティを見極めることが大切だと思います。

 

自分に花丸!!自分を丸ごと肯定して生きる

岡野さんのビジネスのコンセプトである「自分らしく軽やかに」生きるために、どうしたらいいでしょうか?読者にアドバイスをいただけませんか?

自分を愛すること、これがすべてだと思います。しかし、そう言うのは簡単ですが、自分を愛するのは実は一番難しいことかも知れません。私もさまざまな経験を経て、やっと自己肯定感を持てたというのが本音です。
自分を愛するためには、「自信のとらえ方を変える」のが効果的です。これまでの学校教育や社会という組織の中で、私たちはいろいろな条件をつけて自分を評価していることが多かったんですよね。「テストで100点を取れたら私はすごい」「痩せていたら素敵に見える」や、「会社の売り上げを上げられたら優秀」などというように、条件をクリアすることが自信を持つことの前提になっているんです。あるいは「親や友達に褒められたら上手くいっていると思う」「上司から評価されたら安心」など、自己肯定を自分以外の人に依存していることもあるかも知れませんね。
しかし、それは真の自信につながる考え方でしょうか?人は生まれながらに尊重され、自信に満ちた存在だと私は思います。「自分はこれでいいんだ」と気づいて、自分で自分を認めてあげることが最も大切なのです。私はビジネスを通じて自己肯定感を高く保つコツを学びました。ビジネスでの経験が増えるにつれ、人生の充実感や質がどんどん上がっていると感じます。これからもクライアントの皆様と「自分らしく軽やかに」仕事と人生を楽しむ方法を模索していきたいと思います!