INDEX

PART 1.「自分らしさ」を取り戻すまでー私が個人事業主になったワケー

ナチュラルライフコーチとして、「自然体で軽やかに生きる」をコンセプトに、ヒーリングやコーチングの個人事業を経営している岡野真弥さん。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業し、ホテルのコンシェルジュやブライダルコーディネーター、外資系企業での秘書を経て独立しました。

現在は、自身の経験を活かして、ナチュラルライフコーチとして植物療法や薬膳、瞑想、コーチングなどを取り入れた独自のサービスを提供しています。岡野さんは、ナチュラルライフコーチという個人事業を興すまでに、どのような経験をしてきたのでしょうか?第1回目のインタビューでは、岡野さんが個人事業主になった理由を伺いました。

すべての仕事に対する原動力は“ホスピタリティ”

現在のお仕事について教えてください。
現在、私はナチュラルライフコーチとして個人事業を行っています。個人や企業に対して、「自分らしく、軽やかに」をコンセプトに、植物療法や薬膳、ライフコーチング、NLPなどを取り入れた独自のサービスを提供しています。

起業する前は何をされていたのですか?

大学を卒業後、国内の大手リゾートグループに就職しました。リゾートグループに5年勤めた後、外資系企業に転職しています。リゾートグループに就職した理由は、ホスピタリティを学びたかったからです。
大学生のころ、日韓中の国際会議を開催する団体の運営に携わっていました。
外交上では色々な課題を抱えているように感じていましたが、活動を通じて中国や韓国の方と実際に接してみると、国籍を越えて心が通い合うのを感じたんです。外国人の方の観光をアテンドするなかで、ホスピタリティの大切さを痛感して、観光業に興味を持つようになり、日本の文化を世界に発信したいと考え、リゾートグループを選びました。

会社員時代はどのような経験をされましたか?
リゾートグループではコンシェルジュとして勤務しました。その後、グループ内のブライダル部門に異動してブライダルコーディネーターに転身しました。500組以上の結婚式を担当し、入社3年目には社内の「新婦満足度1位」「営業成績2位」で表彰して頂きました。お客様の晴れ舞台をサポートすることはとても幸せな仕事でした。当時のお客様とは今もお会いしたり、いただいたお手紙を大切に読み返したりしています。
約3年間働く中で、こだわりの強いお客様を担当するとが増え、達成感も感じていました。そこで新たなホスピタリティの分野に関わりたいと思うようになり、秘書への転身を考えました。転職先は外資系の企業でした。

植物療法との出会い

植物療法とはどのように出会いましたか?

リゾートグループからから外資系企業に転職したものの、担当する秘書業務が不慣れな上に不慣れな上に多忙を極め、どんどん体調がボロボロになってしまいました。ひどい生理痛やPMS(月経前症候群)、抑うつ状態に悩まされ、週末はベッドから起き上がる気力もなく寝たきりのようになってしまったんです。
病院を受診すると、睡眠導入剤や安定剤、ピルを処方されました。そういったお薬は、飲んだときは確かに症状は楽になりますが、やる気もなくなってしまって。症状を取り除けても、意欲がなくなったら本末転倒ですよね。「このままお薬を飲み続けても、根本的な解決にならないんじゃないかな?」って思ったんです。

そんな折、高校時代の友人が植物療法を勉強しているのを知りました。彼女も日々の業務が本当に人々のためになっているのか悩みを抱え、体調を崩したそうです。その友人が植物療法に出会って元気になったとブログで発信しているのをたまたま見つけました。「植物療法」という言葉に触れたとき、何か大きな力に突き動かされるような感覚があり、「私が探していたものはこれだ!」と思ったんです。その日の夜には、植物療法のスクールへ体験申し込みをしてしまいました。

会社員を辞めて起業しようと思った経緯を教えてください。
植物療法とは、植物の恵みを取り入れて私たちが本来もっている自然治癒力に働きかけ、セルフケアをする方法です。ここでいう植物とは、ハーブ・スパイス・野菜・果物などのこと。薬草療法、アロマテラピー、漢方、森林療法、フラワーエッセンス療法などが含まれます。実際に植物療法を勉強していくと、自分にとても合っていて、癒されていくのを感じました。
思い切って外資系企業を退職して、1年くらい漢方やアーユルヴェーダを含む植物療法の勉強に打ち込みました。その学びや経験を2016年からインスタグラムで発信し始めると、植物療法に興味を持った人が連絡をくださるようになりました。
インスタでのつながりがきっかけでいろんなご縁を頂いて、2017年からセミナーやコラボイベントを開催するようになり、企業からも声をかけて頂くなど活動の場が広がりました。それがそのまま個人事業になった感じですね。

岡野さんが見出したセルフケアの大切さとは

植物療法を学ぶ中で気づいたことは何でしょうか?

会社員を辞めて植物療法を学ぶ中で感じたのは、「もっと自分が心地よいと感じることをやっていいんだ」「自分を心地よくすることを、ゆるしていいんだ」ということでした。植物療法を実践していくと、「自分の内側から癒されていく感覚」がわかったんです。
この体験から「セルフケア」の大切さを痛感しました。セルフケア、つまり自分で自分を癒すのはとても大切なことなのに、学校教育でも学ばないし、誰も教えてくれませんよね。植物療法と出会って自分が癒されるうちに、「セルフケアの大切さを伝えることを仕事にしたい!」と強く思うようになりました。

岡野さんの考える“セルフケア”や“自分らしさ”とは何ですか?

生活の中で自分の感性を研ぎ澄まし、自分を心地よい状態にしてあげることがセルフケアだと思います。自分に自信を持ち、心地よく生きている状態が「自分らしい」ということではないでしょうか?
このような気づきに至ったのは、植物療法の先生から、「あなたにとって、心地よいと感じることは何ですか?」と問いかけられたのがきっかけです。それまでは周囲からの期待に応えることに一生懸命で、自分にとって何が心地よいのか、自分は何をしていると幸せなのかをじっくり考えたことがなかったんです。この質問は、私の視点を転換させてくれたような気がします。

私たちが自分らしくいられないのはなぜでしょうか?

社会人として義務感を持つことは大切ですが、そればかりに追われてしまっては、苦しくなって自分を見失ってしまいます。私のワークショップに参加してくださる方も、表面的にはニキビやPMSなどの悩みを抱えていますが、突き詰めてみると「こうしなければならない」という考えで自分をがんじがらめにしている方が多いんですね。過去の私もそうでしたが、義務感や何かに追われる気持ちは自分の足かせになります。その足かせに気づいて、自分自身で癒し、解放させてあげるのがセルフケアの第一歩だと感じています。